スパイスの話
- 早雲 裕子(はやくもひろこ)

- 5月17日
- 読了時間: 6分
更新日:6月23日
私はアレルギー体質改善をしたくて、グルテンフリーの食生活を3年半位前から始めて以来、試作レシピをクックパッド(非営利)に載せています。
最近はそのグルテンフリー(小麦粉除去)の延長で、生活習慣病予防のため、ゆるめな四毒(小麦粉、精製した食用油、乳製品、甘い物)抜きもやっていて、そのレシピ研究も(趣味で)やっています。
スパイスを沢山使う料理が以前から好きで、自宅の冷蔵庫に常時入れています。


スパイスって、何となく神秘的で惹かれます。
私が神秘的だと感じてきた理由のひとつ…
「スカボローフェア」というサイモン&ガーファンクル(1966年)の曲。
Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary, and thyme.
Remember me to one who lives there,
She once was a true love of mine.
Tell her to make me a cambric shirt,
Parsley, sage, rosemary, and thyme.
Without no seams nor needlework,
Then she'll be a true love of mine.
Tell her to find me an acre of land,
Parsley, sage, rosemary, and thyme.
Between the salt water and the sea strand,
Then she'll be a true love of mine.
Tell her to reap it in a sickle of leather
Parsley,sage, rosemary, and thyme.
And to gather it all in abunch of heather.
Then she'll be a true love of mine.
Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary, and thyme.
Remember me to one who lives there,
She once was a true love of mine.
≪和訳≫
スカボローフェアに行きますか?
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
そこに住んでいる人に私を思い出してもらってください
彼女はかつて私の本当の恋人でした
キャンブリックシャツを作ってくれと言ってください
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
縫い目も針目もないように
それが出来たら、彼女は私の本当の恋人になるでしょう
1エーカーの土地を見付けてくれるように彼に言ってください
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
塩水と海峡の間に
それが出来たら彼女は私の本当の恋人になるでしょう
革の鎌で刈り取るように彼女に言ってください
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
そしてそれをヒースの束に集めて
それが出来たら彼女は私の本当の恋人になるでしょう
スカボローフェアに行きますか?
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
そこに住んでいる人に私を思い出してもらってください
彼女はかつて私の本当の恋人でした

元は中世頃のイングランド民謡だそうです。
この歌は、メロディがとても幻想的です。
「パセリ、セージ、ローズマリー、タイ厶」4つのスパイスを何度も繰り返して呪文のようで、謎めいた雰囲気です。
歌詞は、かつての恋人に無理難題を投げかけるという内容で、「だから、もう元には戻れないよ」というメッセージが隠されているように感じます。
まるで「竹取物語」のかぐや姫が、 5人の求婚者に無理難題を課して撃沈させたシーンのようです。
初めて聴いてから、おそらく45年以上…ようやくその背景をちゃんと調べてみました(笑)。
以下ChatGPTより引用
・中世イングランドのスカボローの市(いち)を舞台にした古いバラッド(民謡)
※この4つのハーブは、西洋の伝承ではそれぞれ深い象徴的な意味を持ち、料理だけでなく儀式や薬用にも用いられてきました。
(パセリ) 慰め、清め
(セージ) 知恵、長寿
(ローズマリー) 記憶、忠誠
(タイム) 勇気、強さ
「スカボローフェア」における意味
歌詞に登場する「パセリ、セージ、ローズマリー、タイム」は恋愛や別れ、心の成長を象徴し、パセリには「新たな始まり」「悲しみの癒し」「浄化」の意味があるとされ、これらを繰り返すことで、失われた愛、願いの叶わぬ恋の呪文や祈りの意味があるそうです。
スカボロー・フェアの原型
スカボロー(Scarborough)という英国北東部、ノース・ヨークシャー州にある港町。フェアはマーケット、市(イチ)という意味で、スカボローで年1回夏に1ヶ月に渡って行われる大規模な市のこと。中世13世紀頃から続く市で、昔は英国だけでなく周辺国から商人が集まりにぎわった。
「スカボロー・フェア(Scarborough Fair)」の原型は、イングランドの伝統的なバラッド(民謡)で、中世にまで遡ると考えられている。原型は13世紀〜17世紀ごろのイングランドに起源を持つとされており、当初は口承で伝えられている。
原型の歌詞(中世のバージョンの一例)はこちら
ちなみに、曲中に出てくる
・キャンブリックシャツとは
上質な綿や亜麻の薄手のシャツ、フォーマルな場で使われる事も多い
・1エーカーはどれ位の面積?
約4047㎡、約1224坪
・ヒースの束とは?
ヒースはヨーロッパ原産の低木(ツツジ科)で、荒野や草原に自生
英国では「ヒース=荒涼とした野原、心象風景」の象徴とされ、文学や小説によく登場
~ 引用終わり
なんとなくですけど、エルフィンナイト(妖精の騎士)が出会った人間の女性に無理な注文をつけてみたり、ハーブの呪文を言ったり…
異世界ファンタジーとして曲を解釈したら、腑に落ちました。
かぐや姫が月に帰るという現存する日本最古の物語「竹取物語」(平安時代初期、9世紀後半~10世紀前半)も、そういう意味で異世界のお話ですから。
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ちなみに、胡椒を始めとしたスパイスの歴史も面白く、古代エジプトか、近代の大航海時代、そして現代に至るまで、「スパイス=富と権力の象徴」でした。
昔ラムセス二世のミイラから黒胡椒が見つかった、なんて話には驚きです。↓↓↓
紀元前2000年頃のインドで熱帯性ツル植物
↓
紀元前1000年頃の古代エジプト
ミイラの防腐剤や香料として、古代エジプト史で最も偉大な王と称えられるラムセス2世ミイラから黒胡椒の粒が発見されたとか
非常に貴重なものだった
↓
古代ギリシャ・ローマ時代
胡椒は黒い黄金を呼ばれ、金と同じ価値を持つこともあった
ローマでは薬・媚薬・防腐剤としても使われた
↓
中世ヨーロッパ(5~15世紀)
アラブ商人→シルクロード→ベネチア商人を経て流通
極めて高価なぜいたく品、富の象徴
税の代用にも用いられた
↓
大航海時代(15~17世紀)
胡椒が香辛料戦争(SPICEWARS)の原因に
ポルトガル、オランダ、イギリスなどが東南アジアの胡椒産地を巡って、熾烈な植民地戦争
↓
近代(18~19世紀)
プランテーション栽培により、生産量が安定、価格が下がり庶民に広がる
主に料理のスパイスとして使用されるように
↓
現代(20世紀~)
世界中の料理に欠かせない調味料に
ヨーロッパでは冷蔵庫がない時代に≪肉の保存≫が熱狂の理由だったとか
なるほど。
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⤴︎ スカボローフェアはイングランド民謡ですが、卒業式等や閉店のテーマでお馴染みの「蛍の光」はスコットランド民謡です。
ご存知でしたか?
『蛍の光 ~Auld Lang Syne~』お立ち寄りくださいましてありがとうございます。 昨日の日記のとおり、今日は娘の高校卒業式に行ってきました! 卒業式では…校歌や卒業式ならではの曲を聴きま…ameblo.jp
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🥄日本の調味料のすごさも再発見中
話は変わり…私は毎日料理をしていて改めて感じるのは、和の調味料の素晴らしさです。
特に 醤油、酒、みりん、味噌
等は和食に欠かせない、まさに日本の食文化の結晶だと思います。
もっと言えば、出汁もすごいです。
次回はこれらの日本の調味料について掘り下げてみたいと思っています(笑)。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。




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